糖尿病でも腎臓に優しく美味しく食べる工夫
年齢を重ねると、「糖尿病があります」とか「腎臓の数値が少し悪いですね」と言われる方が増えてきます。
そのとき多くの方が心配するのが、「もう好きなものは食べられないの?」「味のない食事になるの?」という不安です。
特に、糖尿病と診断された高齢者の皆さんにとって、食事は単なる栄養摂取の手段ではなく、人生を豊かにする大切な楽しみそのものです。
しかし、糖尿病が進行すると、腎臓にも負担がかかり始めます。そうなると、「塩分を控えましょう」「タンパク質を制限しましょう」と、ますます食事の制約が増えてしまうのです。
ですが、腎臓と糖尿病があっても食事の楽しみを続けることは可能です。
大切なのは食事を我慢することではなく、工夫して楽しむことです。

糖尿病が腎臓に与える静かなる影響とは?
腎臓は体の中で老廃物をろ過しきれいな血液を作る大切な臓器で、不要なものをこし取ってくれる役割を担っています。
しかし、糖尿病で血糖値が高い状態が長く続くと、この繊細なフィルター(毛細血管)が少しずつ傷んで老廃物をうまく出せなくなります。これを糖尿病性腎症と呼びます。
初期にはほとんど症状がないため、気づかないうちに病気が進行してしまうこともり、 足がむくむとか食欲がないといった変化は、腎臓からのSOSかもしれません。
食事制限=楽しみを失う、ではありません
塩分を控えろ、タンパク質も控えろ、甘いものは禁止と言われると、味気がない、食べる楽しみがなくなる、食事がつらいと感じる方も多くなります。
でも、実際には食べ方を変える、味付けを工夫する、量を調整するなどのちょっとした工夫で、食事の楽しみはぐっと広がります。
美味しいを諦めないために!腎臓に優しい食事のコツ
出汁と香りをつける
・昆布や鰹節、煮干しでしっかり出汁を取ると、少ない塩分でも満足感が得られます。
・酢やレモンなどの酸味を使う
・ニンニク、生姜、しそ、大葉、柚子胡椒などの香辛料やハーブを使うと、料理に深みが出ます。
これだけでも塩分を減らして満足感のある味になります。
低塩でも旨みのある食材を選ぶ
トマト、きのこ、海藻類などは、それ自体に旨み成分が豊富です。これらを積極的に使うことで、薄味でも美味しくいただけます。
調理法を工夫して塩分をカット
揚げる、炒めるよりも、蒸す、煮る、焼くなどの調理法を選ぶと、調味料の使用量を減らせます。
醤油やソースはかけるのではなく、ちょんちょんとつける意識で。
加工食品や市販品は「成分表示」をチェック
惣菜や加工品には、意外なほど多くの塩分が含まれています。購入する際は、必ず食塩相当量を確認する習慣をつけましょう。
量を楽しむより質を楽しむ
たくさん食べるより、少量でも好きなものをゆっくり味わって食べることが大切です。
量を減らして味を楽しむことで、無理なく続けられます。
食べる時間を楽しみにする
高齢になると食事が作業のようになり、一人で食べることが増えることがあります。
できれば、テレビを消して、ゆっくり噛んで、味を意識しながら楽しむ時間として食事をとりましょう。
食べることは、体だけでなく心の健康にもつながります。

食事を楽しむことは、長生きの秘訣
高齢になると、長生きよりも、楽しく生きたいと思う方が増えてきます。
実は、食事を楽しめる人、よく噛んで食べる人、食べる意欲がある人
は、体力が保たれ、病気が進みにくく、気持ちも前向きになりやすいことが分かっています。
つまり、食事の楽しみを守ること=健康を守ることなのです。
あきらめない食事が、腎臓と体を守る
糖尿病や腎臓の病気があると、様々な制限という言葉に気持ちが重くなります。
しかし、もう歳だから仕方ないと諦める必要はありません。糖尿病があっても、腎臓に配慮しながら、工夫次第で美味しい食事を楽しみ続けることは十分に可能です。
大切なのは、食べる喜びを失わないことです。
腎臓と糖尿病があっても、おいしいとかうれしいという気持ちは大切にしてください。
無理をせず、工夫しながら、これからも食べる楽しみを続けていきましょう。
執筆者情報
日本とドイツの医師免許を持つ脳神経外科医
市村 真也(いちむら しんや)
- 医療法人慶真会 横浜フロント脳神経外科・泌尿器科理事長/川崎中央クリニック院長
- 開成高校卒・慶應義塾大学医学部卒
- 脳神経外科専門医・医学博士
- 月9ドラマ「ヤンドク!」脳外科医療指導
- テレビ出演多数
【保有資格・所属学会】
- 日本脳神経外科学会専門医
- 日本脳卒中学会専門医
- 脊椎脊髄外科専門医
- 日本脊髄外科学会認定医
- 日本がん治療認定医
- 日本神経内視鏡学会技術認定医
- 日本医師会認定産業医
- 日本医師会認定健康スポーツ医
- ドイツ医師資格
- ドイツ脳神経外科学会正会員
- ヨーロッパ脳神経外科学会正会員

