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ショパンコンクールの旅〜ワルシャワにて:Dr.まやあブログ

[2025.10.19]

2025年10月2日から10月6日までワルシャワに行っておりました。

目的は、ショパンコンクール1次予選を観るためです。
本当はファイナルを観たかったですが、チケットを取り損ねました。

2021年第18回ショパンコンクールの時に、Youtubeでライブ配信を観て、大感動させられ、コンテスタンドの皆さんの緊張感ある演奏、そして、”ピアノメーカー戦争”という裏の静かな戦いの、妙な面白さに惹かれ、現場で感じてみたかったのです。

10月3日は、ショパンの心臓が安置されている聖十字教会やショパン博物館に行くとともに、ポーランド人のツアーガイドの方に、ワルシャワの街の歴史をお伺いし、ショパンが生まれた背景、その歴史に翻弄される運命について、少し触れることができました。
ショパンは、ポーランド人で、パリを中心に演奏会を行なっていたようです。
最期は、ロシアに阻止され、ワルシャワに戻ることを許されず、1849年10月17日パリで亡くなったそうです。
そして遺言通り、心臓だけ取り出し、ショパンの姉が隠れて心臓をワルシャワに持ち運び、ワルシャワ大学の前にある聖十字教会に置いてもらうことになった、とのこと。

 

10月4日午前は、ショパンが生まれた家、ジェラゾバに行き、ショパンが人形劇なども行っていたことを知りました。


そして、午後いよいよ、17時からショパンコンクール1次予選を観戦のため、ワルシャワフィルハーモニーへ。
4年前にYoutubeで観ていた、まさにこの会場!大興奮です。

基本的に、ショパンコンクールは、ショパンの曲のみで争います。
1次予選、2次予選、3次予選、ファイナルと全部課題曲があり、演奏者はそこから選んで演奏。
そして、コンクール初日3日前に、ホールで今回採用されている、STEINWAY、YAMAHA、Shigeru Kawai, FAZIOLI、そして今回再採用になった、Bechsteinから選んで、ファイナルまで臨みます。
日本のメーカー2社も選ばれていることは誇らしいことです。が、残念ながら、人気は圧倒的にSTEINWAYです。
ちなみに、ショパンが好んでいたピアノはフランスのPLEYELだそう。現在は、製造が止まっているとか。本来は、このPLEYELを全員使う、というのが面白いのかな、とも思ったりして。
時々おしゃれなヨーロッパのカフェやBARに置いてあったりしますけどね。

予選84人のうち
STEINWAY 42人
Shigeru Kawai 21人
YAMAHA 9人
FAZIOLI 10人
BECHSTEIN 2人
前回優勝のBruce Liuが演奏に選んだのが、FAZIOLIなので、今回一気に人気ピアノになるのでは、とのことでしたが、意外にもShigeru Kawaiの方が人気。YAMAHAは人気を落とす形となったようです。

第18回でYAMAHAを選んだ演奏者が3次予選に進めなかった、ということで、かなり衝撃が走ったのを覚えています。そして、躍進のShigeru Kawai
この辺の音の違いがどれくらいわかるのか?会場で聴くのを楽しみしてました。

ショパンの曲を、私は当然全部知っているわけではありません。
エチュードはほぼなんとなく全部聞いたことあれど、ワルツやバラード、ノクターンでも、ちゃんと全曲聞いたことないと思いますし、当然読譜も一部の曲しかしたことがありません。完全に素人。
どこまで楽しめるのか?そして、途中で眠くなったりしないのか!?心配・・・(笑)

2日間行ってびっくりしたのが、会場に来ている日本人の多さ。
大半は、40〜70代の女性。時々それに同伴する夫、という感じ。
私の止まっていたホテルに、日本人宿泊者多数。こんなにワルシャワに大挙しているのにびっくり。
おそらく、ショパンコンクールを見るツアーに参加している人々らしい。
私も日本のチケット代行者から買ったため、そのツアーのおこぼれチケットだったらしく、その人々の傍に座っている、という感じだった。

10/4 午後の部は、17時からなのですが、2階バルコニー席の最前列。なんて見やすい!私は、ピアニストの手をみるのが好きで、双眼鏡を持参するのですが、このバルコニー席かなり見える。ありがたい。日本人の演奏者はいなかったのですが、ファイナルに残ったKevin Chenの演奏を聴くことができました。

 

ChatGPTに、誰が優勝候補なの?と聞いてみると、その1つ前に演奏したKai Min Cangが予備予選で圧倒的に点数が高かった、と出てましたが、Kevin Chenの方がミスなく完璧に仕上げた感じがして、聴かせる演奏だったように思います。STEINWAYを使用していて、とにかく華やか。

そして、最後の2人、Diana Cooperさんの柔らかい演奏、Athena Dengさんの、女性なのに力強い演奏にもすごく惹かれたのですが、この2人は残念ながら1次で敗退。

 

この日は、STEINWAY、Shigeru KawaiとYAMAHAのピアノを聴き比べすることができました。

そして、帰ろうとした時に、「月刊ショパン」のカメラマンさんに、「あの脳外科医の、先生ですよね?」と、声をかけてもらい、軽いインタビューと写真撮影をしてもらい、今月号の月刊ショパンに載せてくれる、とのこと!買ってみなくちゃ!

 

10/5 午前、午後部両方チケットを取っていました。
始まる前に、会場のグッズ売り場で、日本人の女性に「脳外科医の先生ですよね?」とまたまた声をかけられた。だいぶ知られる存在になりました。

午前部は、午前10時からの演奏。この日は1階席の後ろから3番目くらい。逆に後ろの席でどこまで音が聞こえるのか、前日のバルコニー席とは違う楽しみ方ができました。
4人弾いた後に休憩やピアノがステージの下から、次の演奏者の使用するメーカーのピアノが用意されます。いよいよFAZIOLI登場!!

ちなみにここいらで個人的音の感想。

STEINWAY;やはりなんと言っても華やかな音の響き、一音一音の鍵盤の響きの良さ、鍵盤を離した後の余韻のよさ、下手したら、私でも弾いたら上手く聞こえちゃうんじゃね?と勘違いしてしまう、音の輝きが圧倒的にすごい

Shigeru Kawai ; 音が可愛らしく、まろやか。一音一音が丸く包まれるような音。音の広がりもよく、軽やかに響き渡る音が、前回の大会にまして、よくなった気がした。STEINWAYの華やかさに近づいている様にも思えた

YAMAHA ; 私がピアノの音、と言ったらこの音がピアノ、という。聞き慣れた音。一音のクリアさ、くっきり聞こえる音の綺麗さ。スッキリしている音。音の余韻が少ないからか、正直、華やかさは、弾き手のテクニックが求められるような気はする。が、音の強さは圧倒的。

FAZIOLI ; YAMAHAの音に近く、音のクリアとともに、高音の響きのキラキラ感が舞うような、そんな音のように感じた

午前と午後の部の間で、近くの人気うどん屋さん「UKIUKI」に並んで入りました。
とにかく連日大行列。うどんと豚骨ラーメンのお店でした。
私は、本来苦手な豚骨らーめんをチョイス。一蘭のラーメンに近いように思いました。
ここで、Shigeru Kawaiの日本人調律師さん達も一緒になりました。
やっぱりラーメン食べたくなりますよね〜と心で呟きながら、ラーメン、そして抹茶アイスまで食べて、午後に備えました。

10/5 午後の部
会場してすぐに、Youtubeで放送されている「ショパントーク」の場所を会場内に発見。
すると、そこに、前回3位の、マルティン・ガルシアガルシアがいるではないか!!すげー。
そして、放送が終わるやいないや、駆け寄り、一緒に撮影とサインをしてもらった。その後、いろんな日本人のおばさま達にも捕まっている様子を見たが、日本語を少し話しているのが聞こえて、上手だった。

いよいよ日本人2人登場。しかし、そこの前に、とても素敵な演奏をする2人を聴くことができた。
1人目はポーランド人のAdam Kaldunskiさん、FAZIOLIの使用で、タッチが力強くダイナミックなのに、繊細なパッセージで、FAZIOLIのクリアな音に華やかさが加わって、響きが素晴らしい。
なんと、弾き終わった後に、一緒に写真を撮ってくれて、サインまで頂いてしまった。

 

2人目がジョージア人 David Khrikuliさん。
この方も高い技術と、リズム感のよさ、力強さとダイナミックな演奏、非常に安定した演奏で、聴き入ってしまった。この方はファイナルに進出していた。

その後に、日本人の小林海都さん。
YAMAHAを選択していた。
ここで、思ったこと。これはあくまで素人の私の感想。
YAMAHAのクリアさが、仇となったのでは?と思われる。クリアでスッキリと聞こえるのはエチュードではテクニックがはっきりして良いが、STEINWAYと比較して少し音が途切れるように聴これてしまう。ミスタッチしているわけではないのに、ミスタッチをしている様な・・・。これは個人的感想です。

そして、桑原志織さん! STEINWAYを選択。
とにかく、出場者の中で、経験値が高いこともあるのか、安定の演奏。華やかさ、ダイナミックさ、正確さ、ミスタッチの少なさ、ショパンはこういうふうに弾くんだ、という何か芯のようなものを感じる演奏でした。Kevin Chenを超える美しさがあったように思います。

そんなこんなで、ショパンコンクール鑑賞を終了させました。
総括としては、普通のコンサートと違って、演奏者の緊張感が会場を包み込み、みんなで邪魔しないように、真剣に演奏を聴く雰囲気が、今までに経験がない演奏会です。そして、コンサートではあり得ない、同じ曲を違う演奏者、違うピアノで何度も聞く、というのも面白い経験です。

ピアノメーカー戦争としては、
STEINWAY、Shigeru Kawaiは、休憩時間に、とにかく調律師の方が入り、音の調整を細かく行っているのに対して、YAMAHAやFAZIOLIは調律師さんたちが細かく調節してはいなかったです。(もちろん見える範囲での話。裏ではやってらっしゃるのでしょう)
素人が聞いていたら、調音がどこまで調節できているのか、全くわかりません。
でも、あの細かく丁寧な調音が、次のコンテキスタンドの良し悪しを決めるわけですから。
そして、このメーカー戦争、次の5年間のピアノの売り上げにつながるわけで。

個人的にYAMAHAのピアノがどうなっていくのか、ちょっと気になるところ。
YAMAHAのピアノは、調音が必要ないくらい安定した音で、世界一の生産力の一方で、他社と違って、特徴が少ないゆえに、物足りなさを感じちゃうのかな、と。聞き慣れているから、というのはあるかと思いますが。

まぁ、ともあれ、私はとっても楽しかった。演奏中、寝ることもなく、曲の合間に、持っていたほうじ茶とコンビニで買ったHARIBOをむしゃむしゃ食いながら、音に集中して楽しめた。

10月20日、第19回ショパンコンクールが終わる。
誰が優勝するか、楽しみでしかない。
桑原さんにぜひ期待!進藤さんかもしれない!

そして、次回、第20回はファイナル3日間を聞きに、ワルシャワに戻りたいと思います。

 

執筆者情報

日本とドイツの医師免許を持つ脳神経外科医

市村 真也(いちむら しんや)

【保有資格・所属学会】

  • 日本脳神経外科学会専門医
  • 日本脳卒中学会専門医
  • 脊椎脊髄外科専門医
  • 日本脊髄外科学会認定医
  • 日本がん治療認定医
  • 日本神経内視鏡学会技術認定医
  • 日本医師会認定産業医
  • 日本医師会認定健康スポーツ医
  • ドイツ医師資格
  • ドイツ脳神経外科学会正会員
  • ヨーロッパ脳神経外科学会正会員

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