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ヤンドク!の手術を脳外科医療指導医が解説
⑦海馬近傍の海綿状血管腫(第6話)

[2026.02.20]

海馬とは

海馬とは、脳の側頭葉の内側に左右一対で存在する器官で、記憶や学習、感情の調整に深く関わる非常に重要な部位です。

新しく入ってきた情報を必要なものか忘れてもいいものか仕分ける役割を担っています。

海馬の主な働き

記憶の形成・整理
  • 短期記憶の保管: 数日間〜数週間ほど情報を留めます。

  • 長期記憶への転送: 重要な情報だと判断されると、脳の側頭葉や大脳皮質などの別の場所に送られ、長期間保存されるようになります。

 

学習能力の中核

繰り返しの経験を学習として定着させます。語学、仕事の手順、勉強などに直結します。

 

空間認知・方向感覚

場所や道順を記憶し、どこに何があるかを把握します。

海馬に障害があると道に迷いやすくなることがあります。

 

感情・ストレスのコントロール

海馬は扁桃体と連携し、不安・恐怖・ストレス反応を調整します。

慢性的なストレスにより海馬は萎縮しやすいことが知られています

 

海綿状血管腫

海綿状血管腫は、脳や脊髄の血管が、海綿(スポンジ)ように細かな袋状に集まってしまった血管の奇形のことです。

名前に「腫(しゅ)」とつきますが、いわゆるガン(悪性腫瘍)ではなく、良性の血管の形の異常です。

 

海綿状血管腫では血流が非常に遅く、血管壁の壁がもろいため、出血を繰り返すことがあります。

MRI検査ではポップコーン様と呼ばれる独特な所見です。

多くの場合は無症状で、偶然MRIや脳ドックなどを受けた際に見つかることもおおいです。

症状が出る場合は、血管腫ができた場所や出血の有無によって異なります。

  • てんかん発作: 周囲の脳細胞が刺激されることで起こります。

  • 局所的な神経症状: 手足のしびれ、麻痺、複視(物が二重に見える)など。

  • 頭痛: 出血が起きた際に生じることがあります。

 

症状が頻回に出たり、複数回出血する場合には手術を考慮します。

今回は海綿状血管腫が海馬に影響を及ぼして、記憶障害が増悪したために手術を施行しました。

 

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執筆者情報

日本とドイツの医師免許を持つ脳神経外科医

市村 真也(いちむら しんや)

【保有資格・所属学会】

  • 日本脳神経外科学会専門医
  • 日本脳卒中学会専門医
  • 脊椎脊髄外科専門医
  • 日本脊髄外科学会認定医
  • 日本がん治療認定医
  • 日本神経内視鏡学会技術認定医
  • 日本医師会認定産業医
  • 日本医師会認定健康スポーツ医
  • ドイツ医師資格
  • ドイツ脳神経外科学会正会員
  • ヨーロッパ脳神経外科学会正会員

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