ヤンドク!の手術を脳外科医療指導医が解説
⑧内頚動脈狭窄症と脳梗塞への血栓回収療法(第7話)
内頚動脈狭窄症は、首の血管(内頚動脈)の動脈硬化により血流が低下し、プラーク(塊)が飛散することで重篤な脳梗塞(アテローム血栓性脳梗塞)を引き起こす疾患です。
生活習慣病が主な原因で、麻痺や言語障害が突然生じ、一過性脳虚血発作(TIA)が前兆として現れることもあります。
治療は内科的薬物療法や血管を広げる手術を行います。
いままでのヤンドク!でも湖音波先生は
第1話 頚動脈ステント留置術(CAS)
第4話 頚動脈内膜剥離術(CEA)
の両方を行っています。
今回の症例は頚動脈ステント留置術(CAS)
を行った後に脳梗塞を起こしました。
頚動脈ステント留置術(CAS)後の脳梗塞
頚動脈ステント留置術(CAS)後の脳梗塞は、主に術中にプラーク(血管の破片)や血栓が脳へ飛散することで発生し、約5%前後の頻度で合併症として報告されています。
手術中や術後早期に半身麻痺、言語障害などの症状が現れる可能性があり、脳血流の急激な増加による脳出血(過灌流症候群)にも注意が必要です。

脳梗塞への血栓回収療法
足の付け根などの血管から細い管(カテーテル)を挿入し、脳の閉塞部位まで進めます。
主に2つの方法、あるいはそれらを組み合わせて血栓を回収します。
・ステント型デバイスで網状の筒(ステント)を広げて血栓を絡め取る。
・吸引カテーテルで強力なポンプで血栓を直接吸い出す。

治療の適応時間(タイムリミット)
かつては発症後8時間以内が目安でしたが、現在は画像診断技術の進歩により、発症から最大24時間以内まで治療が検討できるようになっています。
「Time is Brain(時間は脳)」と言われる通り、1分でも早い再開通が後遺症の軽減に直結します。
t-PAとの併用: 血栓を溶かす薬(t-PA)の静注療法で効果が不十分な場合や、太い血管が詰まっている場合に非常に有効です。
湖音波先生の迅速かつ的確な診断と治療で、患者さんは症状なく助かりました。


