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糖尿病注射薬「マンジャロ」GIP/GLP-1受容体作動薬

[2024.09.13]

脳神経外科外来予約

糖尿病治療のブレイクスルー

糖尿病治療は年々進化しており、SGLT2阻害薬やDPP4阻害薬、GLP-1受容体作動薬の登場で治療が大きく変わりました。これらの薬剤によって以前の治療では改善しにくかった例でも血糖値が改善するだけでなく、減量も期待できるようになりました。
なかでも持続性GIP/GLP-1受容体作動薬「マンジャロ」は今後の糖尿病治療のブレイクスルーになると言われている薬剤です。(ここでのブレイクスルーとは現状を打破するという意味です。)

 

世界初の持続性GIP/GLP-1受容体作動薬「マンジャロ」

マンジャロは世界初となる持続性GIP/GLP-1受容体作動薬(チルゼパチド)です。

・GIP(glucose-dependent insulinotropic polypeptide: グルコース依存性インスリン分泌刺激ペプチド)

・GLP-1(glucagon-like peptide 1: グルカゴン様ペプチド-1)

という血糖管理に関与する2つのインクレチン作用を担うホルモンに対して作用します。

このため、血糖低下・体重減少効果が強いとされるGLP-1受容体作動薬であるオゼンピック皮下注射(セマグルチド)を上回る効果が臨床試験で確認されており、現段階でもっとも効果の高い糖尿病治療薬です。

マンジャロ5mg

 

マンジャロの体重減少効果と血糖降下作用

マンジャロの特筆すべき特徴は既存の薬剤以上の体重減少効果と血糖降下作用です。

これまで最も減量効果を認めたのが、オゼンピックの最大容量である1.0mgですが、このオゼンピックとマンジャロを直接比較した試験が、SURPASS-2試験です。マンジャロは標準容量の5mgでオゼンピック最大容量の1mgよりも体重減少効果が高く、-7.6kgの減量を認めました。15mgについては-11.2kgの減量効果を認めています。

マンジャロによる治療で体重減少することにより糖尿病治療にますます効果が出てくると考えられます。

血糖降下作用では同じくSURPASS-2試験にて、オゼンピック1mgと比較しても、マンジャロは5mg/週以上で血糖降下作用が上回り、投与開始40週後のHbA1cは2%以上改善しました。単剤でHbA1cが2%以上低下するのは今までの薬剤では考えられないような素晴らしい血糖降下作用です。
(N Engl J Med 385(6):503-15,2021.)

また日本人2型糖尿病患者を対象とした国内臨床試験(SRPUSS J-mono試験)では、糖尿病治療で目標とするHbA1c7.0以下の達成率が他の薬剤では67%だったのに対して、マンジャロの単独投与のみで、HbA1c 7.0%未満の治療目標を達成した割合が94%以上という、驚異的な血糖低下効果を認めました。

 

マンジャロの副作用

マンジャロで多くみられる有害事象は悪心、便秘、食欲減退、下痢などの胃腸障害ですが、GIPの効果でオゼンピック等のGLP-1受容体作動薬よりも悪心がおこりづらい、すなわち気持ち悪くなりにくいです

また重症低血糖は認めませんでしたので、糖尿病治療で最も気を付けなくてはならない低血糖発作は起こりにくいと考えられます。

マンジャロは自己注射です

マンジャロはオゼンピックと同様に自己注射です。1回使い切りのオートインジェクター型注入器「アテオス」によって週1回皮下注射します。予め注射針が取り付けられた専用ペン型注入器により、注入ボタンを押すことで自動的に注射針が皮下に刺さり、1回量が充填されている薬液が注入される。患者が用量を設定したり、注射針を扱ったりする必要がありません。

今までに当院で処方した患者さんたちからも、以前の自己注射よりも痛くないと好評を得ています。

当院ではマンジャロを発売と同時に導入して、いち早く糖尿病患者さんの保険診療に役立てています。

 

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