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くも膜下出血

一命を取り留めてもその後の生活に
大きな影を落としかねない極めて危険な病気です

くも膜下出血を説明する際には『突然、ハンマーで頭を殴られたような痛み』といったような表現がよく用いられます。それほどまでに今までの人生において経験したことのないような激烈な頭痛を生じるのが特徴的な病気です。残念ながらそのまま亡くなられてしまう方も大変多い怖い病気ですが、かろうじて一命を取り留めたとしてもその後の社会復帰が難しくなるケースが多くみられます。くも膜下出血を起こさないためには、定期的な検査などまずは早期発見する取り組みが何よりも大きなカギを握っています。

くも膜下出血とは

「くも膜」と呼ばれる脳の表面を保護する膜と脳の隙間において出血が起きる病気です。脳内に張り巡らされた動脈部分にコブができ、それが徐々に大きくなって破裂します。コブが破裂すると脳の圧力が急激に高まり、それによって激しい頭痛や意識障害が引き起こされます。コブは破裂しなければ無症状ですが、ある日突然破裂する可能性があるため危険なものとして考えられています。コブの大きさも場所によって大小ありますが、年に平均して1%程度の確率で破裂が起きるとされています。日本においては特に女性に多くみられる傾向があります。動脈のコブは脳ドックやMRIなどを用いた詳細な画像検査によってその有無を確認することができます。

ほとんどの場合、脳動脈瘤の破裂が原因となります

くも膜下出血は特に後頭部で生じることが多いです。脳動脈瘤の破裂で起きることがほとんどで、日本人においては90%以上がこれに該当すると言われています。残りの10%は脳動静脈奇形(AVM)などの破裂によるものと考えられています。

一命をとりとめても重い後遺症に悩まされる患者さんが多い深刻な病気です

くも膜下出血は実に3分の1の方が即死すると言われるほど致死率が非常に高い怖い病気です。かろうじて一命をとりとめても、その後の生活は重い後遺症に悩まされるケースが多くみられます。社会復帰できるほど回復できる方は、およそ3分の1から4分の1程度という低さでもあります。働き盛りの世代の方は、特に普段からの生活習慣の見直しも含めて最も警戒すべき病気です。

前兆となる警告頭痛に注意!

くも膜下出血が起きる前兆として、片頭痛に似た軽い頭痛が数時間から数週間にわたって続くことがあります。これを警告頭痛と呼びます。動脈瘤から少しずつ出血が始まっていたり、コブの膨らみによる刺激が頭痛の原因となっている可能性が考えられます。吐き気を伴うような激しい痛みが続いたり、頭痛薬を飲んでも治まらない場合などは大出血が起きる危険がすぐそばまで迫ってきている状態かもしれません。原因が思い当たらないひどい頭痛が続く場合には、すみやかに詳細な検査を加えて確認してみる必要があります。くも膜下出血は40代から50代の働き盛りの年代にも多くみられるため警戒が必要です。

動脈瘤ができやすい場所

一般的に動脈のコブ(動脈瘤)は、血管が枝分かれする部分にできやすいのが特徴です。分岐部に血液の流れが勢いよくぶつかることによって次第にコブができ始めます。中でも以下の4カ所は特にコブができやすい場所として知られています。

  • 内頚動脈後交通分岐部(IC-PC)
  • 前交通動脈(A-com)
  • 中大脳動脈第一分岐部(MCA)
  • 脳底動脈終末部(basilar top)

脳底動脈終末部(basilar top)

動脈瘤が破裂を起こすきっかけ

コブ(動脈瘤)が少しずつ膨らんでくると、それに伴って血管内の膜も薄く引き伸ばされていきます。破裂の危険をさらに高める要因として指摘されているのは、「高血圧」「喫煙」「過度の飲酒」です。脳内に動脈瘤が見つかった場合には、この3つを避ける生活を徹底する必要があります。

高血圧

 コブ(動脈瘤)にかかる圧力が常に高い状態となってしまうことで破裂の危険性が高まります。血圧の上昇を防ぐためにも塩分を控えた食事を心がけるなど、適切な値にコントロールすることが求められます。

喫煙

 たばこにはさまざまな有害物質が含まれていますが、それによって動脈硬化が促進されたり、血管内が狭まる危険性が高まることはよく知られています。喫煙者のリスクは非喫煙者に比べると2.2倍~3.6倍にも跳ね上がることが報告されています。

過度の飲酒

 過度の飲酒は高血圧や動脈硬化のリスクを高める血中尿酸値を増加させます。特にカロリーの高いビール類のお酒は、過剰に摂取すると中性脂肪やコレステロール値も増加させます。高血脂症へと進行する危険も高まり、動脈硬化のリスクがますます上昇します。

くも膜下出血を一度起こすと、その後も予断を許さない状態が続きます

くも膜下出血が怖い病気と言われる所以は、その致死率の高さの他にも再発の危険が高率であることにあります。発症後2週間程度は脳動脈が徐々に細くなる脳血管攣縮期と呼ばれる状態となり、脳に十分な血液を供給できなくなってしまう危険が高まります。動脈部に強い狭窄がみられる場合などには脳梗塞を併発しやすく、さらにはその後数カ月は水頭症のリスクも高まるなど、くも膜下出血は一度起きるとその後の経過も予断を許さない状態が続きます。

重大な異常を見逃さないためにも詳細な検査による定期的な確認が望まれます

当院には頭痛にお悩みの患者さんが多くお越しになられます。その痛みが命に関わるような重大なものではないか、正しく見極めることこそが我々脳外科医の果たすべき使命でもあります。各種専門検査機器を用いて、精緻に分析いたしております。

CT

 脳内で起きている出血の有無や、範囲をスピーディーに確認することができる検査機器です。出血が起きた直後からすぐに検査が可能で、脳のむくみの有無などもすみやかに確認することができます。安全性が高く、迅速に判断しなければならない場面で特に力を発揮する検査機器です。

MRI/MRA

 脳内部に複雑に張り巡らされた血管を詳しく確認することができる検査機器です。特にくも膜下出血を起こしやすい場所を重点的に確認することができ、血流や脳卒中・脳腫瘍などといったさまざまな脳疾患にまつわる診断を精緻に分析することができます。奇形・外傷・変形型疾患などといった細部にわたる複雑な病変も見逃すことなく解析する能力に長けています。

未破裂のコブが見つかることは実は多い

脳ドックやMRI検査を行うと、未破裂の動脈瘤が見つかる頻度はとても多いです。年に一度の健康診断の機会などを有効に活用していただきながら、異常の早期発見に努めていただきたいと切に願います。検査の結果、動脈瘤が見つかった場合には半年に一度のペースで現状確認を行う必要が出てきます。小さなものは経過観察を行うことも多いですが、5mm以上となってくると破裂の危険が高まるため医師と相談の上、治療を検討する必要があります。コブ(動脈瘤)が大きくなるスピードも人によってさまざまで、急激に大きくなられる方も珍しくありません。突然死を防ぐには、定期的な検査確認が極めて重要です。

治療について

治療については設備の整った高度医療機関にて行います。当院においては治療に必要となる詳細な検査データを取り揃えた上で、提携の医療機関へ随時ご紹介させていただいております。

開頭手術によるクリッピング術

 破裂や出血を食い止めるために、脳動脈瘤の根元を金属製のクリップで挟んで血流を遮断する治療法です。頭部を開く大掛かりな手術を必要とするため、患者さん側の身体にかかる負担も大きくなります。

カテーテルを用いたコイル塞栓術

 カテーテルを用いて脳動脈瘤の内部にプラチナ製のコイルを詰めることで血液の流れ込みを防ぎます。開頭手術を必要としない低侵襲な治療法として昨今注目を集めています。

当院の診療方針

当院では命にかかわるような重大な異常の有無をまずは精査するために、各種検査機器を用いて精緻な分析を加えることを重視いたしております。万一、何らかの異常が見つかった場合には、提携の高度医療機関にご紹介をさせていただき、すみやかに適切な治療を開始できるためのサポートをさせていただくことが何よりも重要な役目と考えております。経過観察を行う場合には、当院で定期的な確認をあわせて行ってまいります。

「おかしいな」と感じたら、まずは検査にお越しください

今まで感じたことのないような激しい頭痛に襲われたら、第一にはくも膜下出血が疑われます。しかし脳内の異常は専門的な検査を加えなければ詳細はわかりません。「何かおかしいな」と感じるような異変がみられる場合には、早期に一度詳しい検査をお受けください。治療においてもくも膜下出血は一昔前までは大掛かりな開頭手術を必要とするものでしたが、今ではカテーテルを用いた体に負担の少ない治療法が広がりつつあります。頭部にまつわる疾患は軽度なものから、突然死を招く重大なものまで幅広いのが特徴です。日本人は特に動脈瘤ができやすい傾向があります。動脈瘤はまさに脳内に時限爆弾を抱えているようなものです。くも膜下出血は家族性の発症も懸念されるため、過去にご家族内で患った方がいらっしゃる場合には人一倍の注意が必要です。

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