腎臓の病気
泌尿器科外来オンライン予約
腎臓は働き者でとても我慢強い臓器
早期に異常に気づける体制づくりを大切に―
腎臓は人が生きる上で欠かすことのできない重要な機能をいくつも引き受けています。例えば体の中に溜まった老廃物や水分、過剰な塩分などを体外へ排出してくれる仕事をはじめ、血圧を安定させるために電解質の濃度をコントロールしたり、ビタミンDを活性化させて健康な骨を作ったり、血液(赤血球)を作り出すホルモン工場としても機能しています。さまざまな仕事を一手に担う働き者である一方で、腎臓はとても我慢強く、異常が起きても症状がなかなか現れにくい臓器として知られています。そのため、私たちは早期に異常に気づける体制づくりを心がけることがとても重要となります。
濁った尿や体のむくみは腎臓からの大事なサイン
腎臓は先にも述べた通り、異常に対してとても我慢強い臓器です。自覚症状としてなんらかの異変を感じ取る頃には、重症化している可能性が高くなります。腎機能の低下を早期に見つけ出すためには、普段からトイレの際に尿の色を観察するクセをつけたり、むくみなどいつもと違う体の変化にも敏感であっていただきたいと思います。
腎臓にまつわる代表的な疾患
実際の診療現場おいてよくみられる病気を一部ご紹介します。
腎盂腎炎
大腸菌をはじめとする細菌が腎臓に侵入し、増殖することによって起きる病気です。膀胱炎が腎臓に波及しておこる場合もあります。症状は、腰や背中の痛み、高熱などで、適宜点滴や抗生剤を用いながら治療を進めます。
尿管結石/尿路結石
腎臓で尿の成分が結晶化して結石は作られます。これが腎臓と膀胱を繋ぐ尿管の途中で詰まってしまうと耐え難い痛みや血尿、吐き気などが引き起こされます。
詰まったまま時間が経つと痛みなどの症状が柔らくことがありますが、そのまま放置すると腎機能の低下にもつながることもあるため、迅速な治療が必要となります
尿毒症
腎臓の機能が低下すると体内の老廃物を十分にろ過することができなくなってしまいます。思考力の低下や食欲不振、血圧の上昇など深刻な体調不良に陥りやすくなります。
腎不全
腎臓の機能が正常に働かなくなってしまう病気です。尿の量が減り、老廃物をうまく外に排出できなくなることで体内に蓄積された有害物質が徐々に体中をめぐり始めます。貧血や尿毒症、放置すればいずれ心不全など命に関わる重大な事態を招きます。一度低下した腎機能は二度と元に戻ることはなく、腎臓移植や人工透析が必要となります。
腎臓がんや膀胱がんなどの悪性腫瘍
検査を行う過程において悪性腫瘍が見つかるケースは当院においてもよくあります。がんは痛みなどの症状はなく、気づかぬうちに進行する大変怖い病気です。肺や骨、脳などほかの臓器の転移が先に見つかり、その後腎臓にがんが見つかることがよくあります。なによりも異常の早期発見を叶えるためには、定期的な検査確認の機会を積極的に設ける努力が必要となります。
特に女性は膀胱炎になりやすいため注意が必要です
女性の身体は解剖学的にも膀胱炎になりやすい形をしています。男性に比べて女性は肛門と尿道が近い距離にある上に、尿道の長さも3~4cmと大変短くできています。そのため膀胱内に細菌が入り込みやすくなってしまうのです。細菌は膣内にも増殖することがあるため注意が必要です。
当院では腎臓の病気に関しても検査機器を豊富に取り揃えております
当院では異常の早期発見に全力を尽くしており、各種検査機器を豊富に取り揃えております。腎臓に関する病気についても効果的な検査をさまざま取り扱っており、肉眼ではわからないレベルの血尿など早期発見・早期治療を目標といたしております。
レントゲン
腎臓をはじめ、尿管や膀胱の形状的な異常を見つけ出すことに優れています。尿路内の結石を見つけ出すことも可能です。
CT
X線によって手軽に体内の断層撮影ができます。検査の際に造影剤を用いると、より鮮明に血管の状態や腎臓内部の様子を確認することができます。
腹部エコー
超音波によって腎臓の形や大きさ、動く様子を詳しく観察することができます。結石や腫瘍、嚢胞の有無も確認することができます。
検尿
採取した尿の成分を細かく分析することで、さまざまな疾患の有無を確認できます。尿内に含まれる糖やタンパク質、血液量を測定し、心臓病や血液の病気などさまざまな角度から可能性を探ることができます。
尿培養
尿検査で異常が認められたら、尿を培養して細菌検査を行います。原因となった菌を特定するだけでなく、炎症の程度なども詳しく分析することができます。
尿細胞診
尿の中には膀胱や腎盂、尿管などから剥がれ落ちた細胞が多く含まれています。採取した細胞を顕微鏡を用いて詳しく分析し、がんや炎症の有無を精査します。
当院では前立腺がんの早期発見に尽力いたしております
当院では済生会横浜市東部病院の泌尿器科と連携し、前立腺がんの指標となるPSA検査を積極的に導入いたしております。PSA検査とは血中内の前立腺に特異的なタンパク質の一種「PSA」の値を測定するものであり、さまざまなスクリーニング検査の中でも最も精度が高いものとして知られています。検査方法としては採血だけで簡単に調べることができ、PSAのほかに腎臓の血流(GFR)確認やクレアチニン(Cr)の数値など、腎機能や炎症レベルなども詳しく確認することができます。特に前立腺がんは50歳を過ぎると罹患率が増加します。一人でも多くの患者さんの早期発見・早期治療を叶えるお手伝いができれば幸いです。
当院の診療方針
当院では診断に必要な各種検査機器を豊富に取り揃え、精度の高い分析・診断を心がけております。入院施設も併設しておりますので、点滴治療など必要に応じて適切な治療をお受けいただけます。診断の結果、さらに高度な分析や治療が必要と判断された場合には、近隣の専門医療機関へ随時ご紹介もさせていただいておりますので安心してご相談ください。
生活習慣病と腎臓は密接なかかわりを持っています
腎臓に過度な負担をかける要因のひとつに高血圧が挙げられます。正しく血圧をコントロールすることは腎臓に対する負荷を和らげることにもつながります。降圧剤が必要となられる方はきちんと正しい治療を続け、正常な値を維持するように心がけましょう。また、過度な飲酒やストレス、過労なども腎機能を低下させる要因のひとつとなります。規則正しい生活を心がけ、適度な節制を行うことは末永い健康のためにとても重要な取り組みです。腎機能は一度失われると、残念ながら元の状態に戻すことはできません。腎機能が著しく低下した場合には腎臓移植や人工透析などが必要となりますが、時間的拘束や経済的負担、生活の質(QOL)においても新たな問題を抱えることとなります。ぜひ普段からの健康的な毎日を大切に、今できる改善から始めてみてください。