性行為に伴う頭痛(性交時頭痛)
性行為に伴う頭痛を訴える患者さんがいます
頭痛の患者さんを治療するなかで、性行為に伴う頭痛(性交時頭痛、sex headache)を訴える方がいます。この中には性行為以外にも自慰行為時の射精やオルガズムによる頭痛も含まれます。男性だけでなく女性の患者さんもいらっしゃいます。
腹上死という言葉があるように、性行為中に心拍数や血圧が正常時に比べて著しく上昇し、その結果、心筋梗塞、脳出血、不整脈などの致死的な病気を引き起こし突然死することも実際に多いです。腹上死(正確には性交死)は高齢者だけではなく、30‐40代の働き盛りの世代にも起こりえます。
国際疾病分類(ICD-11)にも「性行為に伴う一次性頭痛」という分類があり、正式な病名です。
性行為中の脳卒中
脳神経外科医として見逃してはならないのはくも膜下出血、脳出血、脳梗塞、椎骨脳底動脈解離性脳動脈瘤といった頭の病気によって引き起こされる二次性頭痛です。これらの病気は検査をしないと診断がつけられません。気象病や天気痛といった頭痛と同等、それ以上にMRIやCTといった頭の中を調べる検査が重要と考えています。
当院では性行為に伴う頭痛の患者さんには必ず検査を行います。
漢方薬が効果的なことがあります
当院では男女問わず性行為に伴う頭痛には漢方薬を処方しており、これが劇的に頭痛を改善させることがあります。漢方薬なので100%全員に効果があることを保証するわけではないですが、効いてくれれば副作用をほとんど気にせず内服することができます。
性行為に伴う頭痛から解放された患者さんは外来でもいい表情で当院に通院していただいております。
この頭痛に悩んている患者さんは恥ずかしい気持ちもあり、医療機関を受診しない傾向にありますが、長年悩んでいた悩みを解決できるかもしれません。