帯状疱疹
帯状疱疹は幼少期に多くの方が経験する水痘(水ぼうそう)ウイルスが原因となって起こります。多くの方が潜在的にこのウイルスを保有しており、過度な疲れやストレスなどによる免疫力の低下をきっかけに突然発症するのが特徴的な疾患です。多くはピリピリとした皮膚の違和感から始まり、次第に服が擦れるだけでも耐え難い痛みを生じるようになります。最近では新型コロナウイルスとの関係性も取り沙汰されており、年齢問わず発症される患者さんが急増しています。
帯状疱疹は誰もが起こりえる身近な疾患です
帯状疱疹は、多くの人が幼少期に感染する水ぼうそうのウイルス(水痘・帯状疱疹ウイルス)が原因となって起こります。水ぼうそうが治った後も、ウイルスは体内に潜伏を続けており、過労やストレスなどで免疫力が低下したタイミングで再び活性化し帯状疱疹を発症します。日本においては成人の90%以上がこのウイルスを保有していると考えられており、若年層からご高齢の方まで男女問わず幅広い年代で発症がみられます。
代表的な症状
- 赤い発疹(斑点)が出る
- 痛みを伴う水ぶくれが帯状に現れる
- 神経がピリピリする感じがする
- 肌に刺すような痛みを感じる
- 焼けるような痛みが続く
- 手足にしびれを感じる など
一般的に赤い発疹や水ぶくれは上半身の側腹部(体の片側)に現れることが多いとされていましたが、最近では頭や顔、足裏にかけてなど全身の至る場所に発疹がみられる患者さんが多くなりました。初期では皮膚にピリピリとした違和感を生じ、時間の経過とともにウイルスの動きが活発化することで激痛に変わります。主な原因は過労やストレス、加齢による免疫力の顕著な低下です。帯状疱疹が顔や目の周りに出ると症状が落ち着いた後も痕が残りやすくなるため、何よりも早期の治療開始が求められます。
当院ではスピード感を大切に、つらい症状を抑える治療を最優先に行います
体に現れた発疹が帯状疱疹であるかどうかを調べるためには血液検査が有効となります。ただし、結果が判明するまで1週間程度を要するため、当院では帯状疱疹が疑われる患者さんに対しては抗ウイルス薬を迅速に処方し、つらい症状を抑えるための治療を最優先に行っております。実際に帯状疱疹になられた患者さんの声に共通するのは、過度な疲れやストレスです。免疫力の低下が主原因となる疾患であるため、治療にあたっては健康的な生活を心がけ、十分な休息を取ることを意識してください。
抗ウイルス薬を内服すると約1週間程度で症状は落ち着いてゆきます
帯状疱疹には抗ウイルス薬の投与が必要となります。当院では基本的に服薬治療を行っており、約1週間程度で多くの症状は改善されてゆきます。
重症の場合には、当院にて入院治療をお受けいただけます
特に広範囲に発疹が現れている重症の方や、内服薬を使用してもなかなか症状が治まらない患者さんに対しては、当院にて入院治療もお受けいただけます。点滴による抗ウイルス薬の投与など、重症度にあわせた治療内容を検討させていただきます。
症状はひどくなるほど後遺症が残るリスクも高まるため注意が必要です
帯状疱疹は放置するほどに症状が悪化し、治るまでにはかなりの期間を要します。放置する時間が長くなると神経が損傷を受け、皮膚症状が治まった後も神経痛(帯状疱疹後神経痛/PHN)などの後遺症に悩まされるようになります。また、頭部や顔周りに帯状疱疹が生じた場合には、角膜炎や顔面神経麻痺、難聴などといった合併症を引き起こす可能性があります。重症化すると視力低下や失明に至る深刻なケースもみられるため、いつもと違う皮膚の違和感や痛みを生じたらできるだけ早く診察にお越しください。
帯状疱疹はワクチンにて予防することが可能です
当院では帯状疱疹を予防するワクチン「シングリックス」を取り扱っております。予防率は90%以上と非常に高い効果が見込まれており、効果の持続期間も長いワクチンとなります。特に抵抗力の落ちやすい時期と重なる中高年の方に接種が推奨されており、当院では50歳以上の方を対象にワクチン接種を実施いたしております。
接種回数:2回(2カ月後に2回目を要接種)
料金:27,500円(税込み)
帯状疱疹ワクチンに関する詳しいご説明についてはこちらへ
川崎院院長が帯状疱疹ワクチンシングリックスを接種しました
帯状疱疹を発症された患者さんへのワクチン投与について
帯状疱疹をすでに発症された患者さんにおかれましては、症状が落ち着いてからの投与となります。個別の詳しい接種タイミングについては医師までお問い合わせください。
近年では新型コロナウイルスとの関係性が指摘されています
近年では特に帯状疱疹を発症される患者数が激増しており、新型コロナウイルスとの関連性が懸念されています。過度なストレスは免疫力の低下に影響を与えやすいため、さまざまな問題が複合的に関係している可能性が考えられています。皮膚の違和感やしびれなどは主観的な症状にもあたるため、人によっては初期の段階で見逃されやすい場合もあります。いつもと違う症状や異変を感じられた場合には、まずは早期にご受診いただき、経験豊富な医師にご相談することを強くおすすめします。
手足のしびれは他の疾患との関係性も疑われるため、精緻な分析・診断が必要となります
手足にしびれがみられる場合には、脳疾患や糖尿病などといった他の重大な疾患が隠れている可能性も十分に考えられるため、精緻な分析に基づく鑑別が必要です。当院は脳神経外科を併設しているため、「頭がピリピリと痛む」「頭皮がしびれる」「手足にしびれを感じる」などといった症状でご来院される患者さんも日常的に多く、詳しく調べると帯状疱疹だったというケースが最近では特に多くみられます。帯状疱疹はウイルス性の疾患となるため、放置するほどに悪化しやすく、後に神経痛などの後遺症が残るなどといったリスクが高い病気です。気になる症状がみられる際にはまずは早期にご受診いただき、頭部CTや血液検査等の精緻な分析に基づく医師による診断をお受けください。帯状疱疹は治療開始のスピード感が何よりも重要となる疾患となるため、正しい理解を持って治療にお臨みください。